社長とは呼ばないで(裏M.A.P.)

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《1985年6月19日のノート》

 
今月に入って、4度目の東京仙台間の移動、全て「のり打ち」ならぬ「打ちのり」の連続という強行軍。先月の28日から休み無し。来月の4日まで、誰か倒れて公演中止にでもならぬ限り休みは無い。

ワゴン車の居心地の悪い座席で読む大江健三郎。

「万延元年のフットボール」……。
「性的な偏向など結局たいしたことではないのだからな。それは、その人間の根底にとぐろをまいている、本当に恐しい奇怪なもののもたらした、ひずみのひとつにすぎない。巨大な、抵抗しがたい狂気の原動力が、魂の奥底にねそべっていて、それがたまたまマゾイスムというひとつの歪みを誘発したにすぎないのだから。」

微かな腹立たしさ。

〈そんなものだろうか。みんなどうして耐えているんだろう。日本人にとってマゾイスムとは、そんな大層な根っこのあるものじゃなくて、だが大層ではないけれど、しかし本質的で普遍的な、いわば性格みたいなものじゃないのか。〉

ガクンと車が跳ねて、すると今度は僕自身に腹が立った。

〈ああ、僕は心理学の教条主義に毒されている。〉

煙草に火を付ける。まわりで雑巾のように寝ている連中に嫌悪を起こさせないように、煙の行方を気にしながら義務のようにすばやく吸ってさっさと火を消す。ポンコツ車に揺られながら、何の脈絡もなく、かつて出会った人たちのことを考え始めた。

〈大切な人がたくさんいた。大切にしなければいけなかった人がたくさんいたはずだ。僕の不義理で、僕はどれだけの人を失ったのだろう。不義理がいけないというのじゃない。だが、不義理によって大切な人を失うという想像力が、もう少しこの僕にあったなら……。いまごろ、みんな、どこでどうしているのだろう。〉

〈大切なあなたたちを失って、僕は孤独です。だが、あなたたちが僕にとって大切だったのは、あなたたちも僕と同じように孤独だったからではなかったか。あなたたちは今、孤独ではありませんか。〉

〈ねむい……。僕も雑巾のように、ねむろう〉
(1985/6/19)
 

《1985年6月15日のノート》

 
ここのところ寒い。おかげで風邪をひいた。さほど重症ではないが喉が痛い、くしゃみが出る洟も出る。関節はだるい、朝は眠い荷物は重い。疲れる。疲れた、おもしろくない、嫌だ、いやだ、ああいやだ、もう嫌だ。文句ばっかり言うな、煙草がまずい、がたがたと何を言っているんだ、それでも男か、ひみつのアッコちゃんのお面……。
意味、不明。
(1985/6/15)
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