FC2ブログ

社長とは呼ばないで(裏M.A.P.)

RSS     Archives
 

スポンサーサイト

 
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 

遠景に映える赤いゴーヤーの姿

 
ちょうど一ヶ月前の朝日新聞に掲載された記事。
仲村清司はゴーヤーについてこう語っていた。
「貧乏な沖縄、差別される沖縄の象徴、大嫌いだった」。
やがてウチナーンチュになりたくてがむしゃらに食べた。今は週に2、3回食べるが、特別な感慨はもうないと。

5年前、比嘉豊光が「赤いゴーヤー」なる写真集を出版した際、彼は琉球新報のインタビューに答えた。
「僕は6月ごろから毎日、おやじの畑で収穫したゴーヤーを食べているが、時々熟れた赤いゴーヤーが見つかる。これ、食べると甘いんだよ。そのことをウチナーンチュもヤマトゥンチュもあまり知らない。新たなものを生むサニ(種子)。それを包む熟んだ赤いゴーヤーの果肉とその甘さ。そういう本質にこだわることが、本来の文化ではないか」
沖縄県が公募したゴーヤーの新種の名前が、「島風」に決まった。名付けたのは大和の人であった。
70年代に大和のカメラマンが沖縄を撮りに来た時と同じだと、比嘉豊光は思った。沖縄のものの全てが大和のものになってしまう。政治的にも文化的にも、沖縄は大和に取り込まれていく。しかし、「赤いゴーヤー」までは奪われることはないだろう。わずかな残り物をしっかり見て、守っていかなければならないのではないか。

ならば、こんなブログのような場所で、「赤いゴーヤー」についてヤマトゥンチュの僕が語ってしまうことは、比嘉豊光にとって、許し難き行為なのだろうか。

今月の3日の琉球新報の記事。“撮らされた「時代の傷」”においても、比嘉豊光は語る。
沖縄という場が持つ力を作品化する時、「東京に売るための作品」なのか、「沖縄を取り戻すための作品」なのかが問われることになると。

だが、僕にはこの対立の実体が見えてこないのだ。「売るための作品」と「取り戻すための作品」とを、ことさら対立させることにどんな意味があるのだろう。そこに見えるものは、比嘉豊光の怨念のようなもの。例えば小説家の目取真俊は、「水滴」を発表することによって、沖縄を売ったのか、それとも取り戻したのか。

佐喜眞美術館で比嘉豊光の写真展が開催されていた。その関連シンポジウム“「赤いゴーヤー」からいま・沖縄を視る”に参加した。比嘉豊光と、大和の大御所である写真家、東松照明の対談。
新聞のコラムは、こう書いた。
「『沖縄でも長崎でも写真を撮ることに変わりはない』と語る東松さんに対し、(比嘉豊光さんは)『自分は沖縄の歴史性、場所性を問いながら写真を撮っている。今の東松さんには沖縄が撮れていないと反発。互いの創作姿勢の違いを際だたせていた」

さて、はたしてそうだったのだろうか。実際には、東松照明は次のように語ったと記憶している。
「僕は好きなものを撮っているだけだ。それが今、沖縄と長崎だということだ。」
「好きなものを撮るとは、好きな人にカメラを向けることと同じ。カメラがなければ、好きな人を長く見ていることなどできはしない。しかし、カメラのファインダーを通せば、写真を撮るということを口実にして、いつまでも好きな人を見つめていることが出来る」
確かに、比嘉豊光氏は苛立っていたのかもしれない。沖縄は三十数年前と何も変わっていない。なぜそれを認めて、その現実を切り取って撮ろうとしないのかと。
それは「創作姿勢の違い」などというものではなかった。

4月19日の琉球新報に、東松照明の興味深いインタビュー記事があった。
「作品の選択は年月とともに変わっていく。たとえば三十年前に一人の人物を撮ったとする。アップ、ミディアム、フルショットのコマがあるとき、撮影直後に選んだのはアップ系が多い。最初は、臨場感を重視する。それが十年後にはミディアムショットになり、だんだん引いていく。周りには車があったり、家並みがあったり、引いていくと、情報量が多くなる。その後、全身が写ったフルショットになる」

「際立っていたもの」とは、年齢とともに達観し、物事を俯瞰することが許されている大和の芸術家と、いつまでも生々しい具体の細部に拘らずを得ない苦悩する沖縄の写真家の、互いに逃れがたい「あり方」ではなかったのか。
しかしながら東松照明も、彼の撮影する遠景の中に、きっと赤き比嘉豊光の姿を、はっきりと捉えているに違いない。
関連記事
プロフィール

urashachoo

Author:urashachoo
FC2ブログへようこそ!





ツリータグリスト

カレンダー
08 | 2018/09 | 10
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -


来訪者

検索フォーム

RSSリンクの表示


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。