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社長とは呼ばないで(裏M.A.P.)

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そんなこと、誰もしらない

 
宮台真司によると、風俗産業の労働分配率は、非合法風俗も含めて六割を越えるらしい。だから彼は、風俗は最も収奪の少ない仕事だという。そんな職種は他にはないと。

労働分配率とは、粗利を人件費で割ったものである。粗利とは売上から材料費と外注費を引いたもの。つまり労働分配率とは、粗利に対する給料の比率ってこと。この「給料」の中に、給与扱いのパートさんの分も含まれるのか、たぶん含まれるのだろう。

さて、きっと正社員ではない風俗産業の女の子たちは、パートなのか外注なのか。もし「風俗の女性」に支払われるお金が外注費だったら、宮台真司の論はまったく意味をなさない。社会学者の話には、概してこういう穴がある。

そんな話がしたかったわけではない。

ふと、うちの会社はどうだったんだろうと考えたのだ。殆ど外注さんだったから、外注費を引いた後の粗利で計算する労働分配率では、うちのような会社の実態は見えない。きっと外注さんが知りたいのは、外注費を含む人件費が、受注額から人件費以外の経費を引いた残り、つまり粗利のうち、どれだけが社長以外の社員と外注さんに払われていたのかということなんだろう。

時期によって変動があるが、おおよそ八割五分といったところ。残りの一割五分が僕の報酬。その数字を、彼らはどう感じるのか。そりゃあ貰い過ぎだろうということにきっとなるのだろう。

会社立ち上げの際、「代表取締役の報酬」を決めるのには相当に悩んだ。
そんなこと、誰も知らない。

一割五分のこの金額でどうだろうと、相談した税理士さんの答え。
「小さな会社の社長は、いざという時に使えるお金を、社長の報酬に含めておくべきであって、それを考えると、これではまだまだ少な過ぎると思いますが、そこは考え方なので…」
だが、社長の報酬を上げるためには外注さんへの支払いを会社立ち上げ以前の額より下げなければならない。それはしたくないから、僕はそのままにした。リスク管理の出来ない経営者、本当は社長失格なのである。
そんなこと、誰も知らない。

今、「蓄え」で食いつないでいる。「蓄え」とは、個人的な貯金の全てのこと。そしてそれで何とか会社を存続させている。しかし、このまま活路が見出せなければ2年持ちこたえる事ができるかどうか。

花に寄ってきていた虫たちは大方去った。果たして、この事務所に再び花咲くことがあるのかどうか、それともやはり、朽ち果てる運命なのだろうか。
そんなこと、去った者たちは、もう誰も興味を持たない。
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