社長とは呼ばないで(裏M.A.P.)

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《1985年9月10日の旅のノート》

 
(※旧ブログに2008年10月17日の日付で投稿)

「……人間というものは、相手に判断を下し得ないでいるあいだだけ、相手を愛し、敬うものだからだ。憧れは認識不充分の一産物なのである」
(トーマス・マン「ヴェニスに死す」)

滝川市にて公演。午前中、雷を伴った強烈な雨が降ったが、今はそれが嘘のように晴れている。「さて」とひとつ伸びをして、元気を出して、と張り切ってみるのだが……。

「せっかく天気がいいのに、こんなに清々しい風景なのに」

僕は腹を立てる。そして…… 

ワカラナイ

平坦な尻上がりのイントネーション。無秩序に揺れ蠢く海綿体状の情念を無理矢理穿り返してみると、そこにはあのシーシュポスが運んだという岩の一片から掘り出されたサタンの像が現われ〈ワカラナイ〉と呟く。その時、僕はこのサタンに自らの魂を売り渡すか、あるいは暗闇に紛れてサタンの首を絞めあげるか、そうする以外に自分を救い出す方法はないのだと感じる。
「笑え!笑ってくれ!」と僕は悲痛な叫び声をあげる。すると小さな少女は、顔を伏せて、声を立てずに涙を流して泣いている。罪悪感にまみれた僕が、そっと少女の肩に手を置くと、少女はクスクス笑いをあげて振り返る。その顔は老婆だ……

ふいに浮かんだイメージ。
一度口にした言葉が取り返しつかないように、吐き出されたイメージはひとつの固定観念となる。それが逃れ難い真実だとしても、僕はその固定化を許そうとしない。断じて許すことはない。
現象学という魅惑の学問が何をどう証明しようとも、現実とは、僕の中にあるイメージではない。現実は正に、ここ、に、ある。思索する夢想家には、それが見えないとでもいうのか。

晴天。快い風。甘ったれた感受性などとは無関係な風。
笑うことだ。まずこの僕が。

「ほら、天気がいいよ、風が気持ちいいよ」
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